さて、今回は利根川・長門川・将監川テストです。

利根川
前日は雨。
そのため今回は、全体的に雨の影響を色濃く受けていました。
利根川本流、そして長門川はかなりの濁りが入っており、特に長門川はおそらく印旛沼からの放水が入った影響で濁っている?ように感じました。
本流でいろいろシチュエーションごとのテストを進め、長門川→将監川へと移動。
平日とはいえ、長門川将監川の人気は凄いですね・・・。
目視できただけでも約20艇。
このハイプレッシャー下で、水温19度から21度という初夏の入り口のようなコンディションの中、現在開発を進めているプロトタイプのルアーをいくつか徹底的なテストを行いました。
まず来年発売予定の「オーバーシュートSB(スピナーベイト)」についてですが、最後の工場サンプルの実釣テストにおいて若干ベアリングの不具合が・・・。
スピナーベイトはワイヤーを曲げた後、日本で発売されているスピナーベイトでは大抵の場合ロウ付けを行います。
これはスピナーベイト開発でたまに起きる現象なのですが、このロウ付けの影響がその付近にあるブレードを接続するベアリング内部に起きて回転不良を引き起こしてしまうのです。
その現象が起きる細かい理論は割愛しますが、ルアー開発はトラブルの連続です。
テストしなければわからないことだらけです。
パッケージングされて店頭に並び、安心して使える製品を作り上げる、正直これだけでも大変な作業なのです。

オーバーシュートSB
とりあえず、ベアリング以外の不良個所は見つからず。
製品としての完成度は高くなってきましたね。
では、オーバーシュートSBの特徴を述べてみましょう。
・スーパーバイブレーションスカートフラット搭載
迷いましたがスーパーバイブレーションスカートフラットを搭載することにしました。
昨今、私が提唱している通り、「スカートを状況によって交換する」ことをメインに考えています。
そのため、スーパーバイブレーションスカートやそのほかお好きなスカートを交換できるようにしています。
つまり、日本で良く売られてるスピナーベイトのように、ラバータイイングしていないという事ですね。
・ワイヤー線径は1mm
ワイヤー線径は1mmです。
ワイヤー線径に関して、過去様々な理論がありますが、今回水流でスカートを揺らし、ブレードのきらめきで魚を誘う方向で考えていました。
今回のオーバーシュートSBでは破損のデメリットが大きくなるので、あえて細いものを使用する選択をしませんでした。
濁っている水系でも良いとはいえ、もともとのコンセプトはクリアウォーターで、さらっと巻ける振動弱めのスピナーベイトです。
近年、そういったフィールドではでかい魚が食うことも多く、華奢な線径は避けました。
また、あえてコンパクトに仕上げているので、これをおもりを付けて速く巻くとアームが閉じてしまうのでそれを避ける意味、とにかくいろいろな意味があります。
コンパクトサイズに1mmワイヤー、意外とアンバランスに見えるかもしれませんが、結果的にここに行きつきました。
・フックは4/0
フックサイズはかなり太め、大きめですね。
コレも基本的にはデカいバスを狙うためのフックサイズです。
BKK製のフックでフッ素コートです。
・ブレードは小型のダブルウイロー
これは独特です。
通常、このサイズで使われるスピナーベイトよりもかなりコンパクトなブレード、しかも前後同サイズのブレードに仕上げました。
普通、このサイズならもっと大きめのブレードをつけます。
ただ、オーバーシュートSBに関しては、基本的はクリアウォーターで巻くスピナーベイトです。
また、マディウォーターでもチャターベイトのように「さらっと巻く」スピナーベイトです。
そのため、ゆっくりボトム付近を巻くというのは想定していません。ゆっくり巻くなら他に沢山よいスピナーベイトがあるでしょう。
そもそも論として、クリアウォーターで使用するスピナーベイトは、マディウォーターよりも速く巻くほうが釣れることが多い(ライブスコープ調べ)ので、コンパクトなブレードでかつ引き抵抗が少ない感じに仕上げています。
回転半径も小さめ、でもハイレスポンスで回転し続ける感じになっています。
潔く、ダブルウィローのみの展開になっています。
ブレード作りはいつやっても大変!
理想通りに完成してホント良かったです。
・シンカー追加重心移動システム
これが最大の特徴かもしれません。
クリアウォーターでのスピナーベイトは、ライブスコープで使ったり、もしくは急深のエリアを探るためにおもりを追加して使用することが多くなります。
私の場合、最大で80gくらいは追加します。
深い場所を探るというよりも、とにかくスピードを上げるためですね。
スピードが遅いと見切られるリスクが上がることのほうが多いです。
深い場所を速く巻けるルアーはクランクくらいしか無く、そういった意味で強烈に効く事が多々あります。
山岡氏のアイデアなのですが、クレビスにスナップが付いています。
ココにおもりを追加します。移動するのが特徴。
理由はいくつかあります。
まずはフォールの時に重心が移動し、ダブルウィローでもきっちり回転させることができる点。
もう一つは、バスが食って反転した時、おもりの重さの影響を受けにくくフッキングが良くなること。
そして最後に、ヘッドシェイクされても重心が固定されていないため重さの割にバレにくくなること、この3つです。
・ビスマス+錫の合金ヘッド
当初は樹脂タングステンを搭載することを考えていましたが、昨今の中国輸出規制のあおりを受け価格が暴騰した樹脂タングステンをを中止に。
代わりのエコ素材を様々検討していましたが、ビスマス+錫の合金ヘッドにすることに決定しました。
比重は8.5です。
ビスマスは比重を9.8。
理論上、ビスマスで作ればエコで比較的鉛に近い比重の高い状態を作ることができます。
しかしこれは理論上の話です。
ビスマスのみで作ると、そもそももろくて釣りには使用できませんし、鋳流れが悪くなる傾向があります。
そのため錫を混ぜて作るのですが、結局錫の含有量を増やし、比重は8.5で作製することに決定しました。
ただ、このヘッドを見てみれば想像していたより大きくないことに気がつくはずです。
これにより、樹脂タングステンのように砕け散るリスクは少なくなりますね。
焼結タングステン比重19と比べるとその差はありますが、樹脂タングステンの比重は通常11で合わせます。
つまり樹脂タングステンの比重は鉛と同等と解釈可能となります。
鉛と同等の比重11と比重8.5を比べてみるとほとんど大差ありません。
でもタングステンのほうが小さくていいじゃん・・・確かにそれはそうなのですが、そんな人にはもう少し数学的にそして心理学的に、そして理論的に説明しましょう。
ビスマス錫合金は、鉛に対して体積が約1.3倍。直径(見た目の大きさ)の比率は驚くべきことに、直径の差はわずか約9%です。
1割も変わりません。
さらにビスマス錫と鉛の投影面積差は約19%になります。
投影面積(水の抵抗を受ける広さ)の差が20%を切ってくると、水の粘性や今回のスピナーベイトのようなヘッド以外のパーツ(スカートやブレード)の抵抗が支配的な場合ではそれ自体の抵抗にほとんど飲み込まれてしまうでしょう。
特に重いシンカーになればなるほど、操作感で鉛とビスマス錫を見分けるのは至難の業です。
しかも重くなればなるほど、この差はさらに消えていきます。
この差は、もはや「水中に入ったラインが受ける抵抗」の方が大きいです。
加えて人間はウェーバー・フェヒナーの法則という概念で物事を捉える性質があります。
この法則は、人間の五感(視覚、重さ、音など)が「刺激の強さの対数に比例する」というものです。
人間は「絶対的な差(何ミリ違うか)」ではなく、「相対的な比率(何パーセント違うか)」で変化を感じ取る、ということです。
先ほど計算した通り、ビスマス錫(比重8.5)と鉛(比重11)の直径比は約1.089(約9%の差)で常に一定です。
軽い時(5mmの鉛 vs 5.45mmのビスマス錫):直径の差はわずか0.45mmです。
しかし、全体のサイズが小さいため、脳はこの「9%の差」を「明確な違い」として認識しやすいです。
重い時(20mmの鉛 vs 21.8mmのビスマス錫):直径の差は1.8mmに広がります。
数値上の差は4倍になりましたが、全体のサイズが大きくなったため、脳は相変わらず「約9%の差」としてしか処理しません。
ここが面白いところですが、物理的な差(mm)は大きくなっているのに、人間の脳は比率で解釈するため、「差が広がっている」とは感じず、むしろ「全体の大きさに飲み込まれて、差が気にならなくなる」のです。
もちろん焼結タングステンにはそれはそれでメリットもあります。
しかし、ヘッドが大きいからと言ってすべてがデメリットになるわけでもなく、盲目的に「タングステンは良い」と考える必要はないのです。
まぁこんな形で必死に考えてオーバーシュートSBは完成に向かいつつあります。
お楽しみに。

新しい釣り方にて
そして今回のメインテーマのひとつである「山岡ミノー(仮称)」のプロトについてテスト。
飛距離は申し分なく、狙ったピンポイントへ吸い込まれるようなキャスト精度を実現しています。
レンジも水面直下50cm以内を完璧にトレースでき、動きもいい感じ。
濁りの中でもしっかりと魚を呼べる手応えを感じていましたが、残念ながらバイトはなし。
今回の釣行で最も大きな収穫としては、納竿間際に手にした2匹の魚がもたらした「気づき」でした。
その魚を連れてきたのは、いじったプロトのルアーですが…。
ある特定の使い方で出る、あの「神の動き」。
年間を通して、物凄い数の他社製品を試すのですが、稀にあるんです「見たこともない動きの神ルアー」が。
今回は全体のボディバランスが生み出す究極のキレ。
もしこのルアー、今のボディでリップ位置をいじってもあの動きが出せないのであれば、それはプラスチックの限界、あるいは1から設計をやり直すべきテーマなのかもしれません。
しかし、どこまで「神の動き」に近づき、かつキャスタビリティという実戦性能を両立させられるか?
近日中にの七色・池原ダムへテストへ行きます。
山岡さんとも意見を交わし、この 山岡ミノーの最終的な「落としどころ」を冷静に見極めたいと考えています。
★タックル★
ロッド:フェンウィック プロト 62
リール:アルファスエアTW
ライン:アブソルートAAA 12lb.
ルアー:山岡ミノープロト
ロッド:フェンウィック プロト 67
リール:SLX BFS
ライン:アブソルートAAA 12lb.
ルアー:オーバーシュートSB
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