H-1GPX芦ノ湖

H-1GPX芦ノ湖

さて、今回はH-1グランプリ芦ノ湖戦の振り返りです!

芦ノ湖

今戦は、テストも含めて足掛け3日間のプラクティス、そして本番当日という計4日間。

バスフィッシングの聖地・芦ノ湖で、私がいかにして戦略を組み立て、そして砕け散ったのか・・・その内容を解明していきたいと思います。

 

1. アフター真っただ中の芦ノ湖と140人の超ハイプレッシャー

当日のフィールド状況ですが、水温は20〜22℃周辺で推移していました。

他のフィールドと同様に今年のスポーニングの進行は大幅に遅れ気味であり、季節の進行度としての体感は「アフタースポーニングど真ん中」という感覚を受けました。

スポーニングに関してもだらっと続いてしまっているためか全体的に「なんとなく釣れるが、何してもはっきりとしたパターンが無い」「しかも全体的に活性は低い」タイミングでした。

ごくわずかに水深3〜4mのディープエリアにスポーニングベッドが残っているものの、大半の個体は産後の後引き状態にあります。

さらに今回私を悩ませたのが、バスが捕食しているベイトの多様性。

メインとなるワカサギに加え、シャローには生まれたてと思われる3cm前後のゴリの稚魚が無数に群れており、水深1〜3mのミドルレンジにもゴリの絨毯が形成されていました。

そこへさらにオイカワやエビなども混在しており、バスの意識も完全に分散している状態です。

そのため、どんな釣りを展開しても「可能性は薄く広く存在するが、絶対的な正解が見えない」という気難しさを孕んでいました。

これに拍車をかけたのがプレッシャーです。

当日はH-1グランプリの参加者が約100名、さらに同日開催のチャプターの参加者が約40名、合計140名もの猛者が一斉にひしめき合うという状態となりました。

先行者の後ろから間髪入れずに次のボートが流すのが当たり前という超ハイプレッシャー下で、普通の釣りを展開してもバイトすら拝めないのは火を見るより明らかでした。

 

2. エリアごとの詳細なプラクティスとディープ戦略

テスト初日から私はエレキで湖を全域巡り、魚のポジションを徹底的に追いました。

まず全域シャローでは、1500g〜1800gクラスのぶりぶりに太った天才級のビッグバスが単発でポツポツと浮いているのを視認しました。

しかし、基本的にニュートラルな状態であり、スピナベサイトを鼻先に滑り込ませても一切の反応を示さず、ボートの接近を察知すると即座に岩の隙間へと逃げる個体。

ダラっとした中層の山側のブレイクやシャローフラットには魚影が少なく、特定の岬の先端にあるストラクチャーなど、「超一等地」の岩場に多く見られました。

多くのバスがストックしていたのは 深良用水周辺。

そんな中、ボートハウス「陣屋」前の水深6〜14mラインにあるディープに大量のワカサギが群れており、そこへ明らかに巨大なバスも複数匹コンタクトしているのを発見しました。

実際、プラクティスの段階では、この陣屋前の12mラインという超ディープにおいて、ステルスペッパー70SF-Rのキャロライナリグ(キャロステルス)を投入し、53cm・2200gオーバーのビッグバスをキャッチすることに成功。

それ以外にも7mラインで1400g追加。

53cm

他にはサイトフィッシングでグリマーを使って辛うじて追加したのみで、3日間の総釣果は非常に少ないタフな現実でしたが、この「今回10m以上のディープをキャロステルスで引いている人間は試合中に一人もいないだろう」というノーマークさが、私の戦略の決定打となりました。

食べていたワカサギ

 

3. 本番当日:誰もいないディープでの孤独な戦略と誤算

そして迎えた本番当日。

私は140名が殺到するシャローの銀座ストレッチを捨て、プラで唯一の確実な手応えを得ていた会場前のディープエリア(水深6〜12mライン)で釣り開始。

ここには係留ロープなどの縦ストラクチャーが絡んでおり、地形的な要素も重なり合って回遊するワカサギとバスを足止めする要素が揃っています。

戦略としては、プレッシャーによるルアーの見切りを防ぐため、ボートから50m近くラインを放出してディスタンスをとる超ロングドラッキングです。

ノーマークのラインをただひたすらに耐えて粘り倒す戦略。

人が多すぎてシャローからは移動すらままならない他船を尻目に、このエリアを完全に独占して陣取るアドバンテージは非常に大きいとこの時は確信していました。

その忍耐が実を結び、ロープ際をタイトに通過させたステルスペッパーに狙い通り待望のバイトが発生しました。

ロッドが絞り込まれ、ディープ特有の重量感が手元に伝わりましたが……次の瞬間、無念のフックオフ。

結局、この日はこのワンチャンスを活かしきれず、無念のノーフィッシュという極めて悔しい結果で幕を閉じました。

振り返ってみれば、最大の誤算は「ライブスコープの有無」にありました。

プラ段階ではライブサイト(他船の映像等を含む)によって水中の様子を把握し、「魚が確実にルアーへ向かっている」という確証を持ってアプローチできていましたが、本番当日は自分のボートにライブスコープがなかったため、完全な目隠し状態での釣りを強いられました。

水中のバスがルアーを嫌がって避けているのか、それとも一瞬のタイミングを待っているのかという判断が一切できず、パターンから外れたディープに執着しすぎてタイムロスを重ねる結果となった形です。

このシャロ―ならば一瞬で見切れる状況が、ディープでは起こりません。

どうしても「風が吹けば食うかもしれない」「天気が晴れれば食うかもしれない」「時間が変われば食うかもしれない」という状況判断の難しさがディープにはありますね。

とはいえ、このディープ戦略が火を吹いたかもしれないのは事実。

確率論でしかありませんが、優勝を狙う戦略としてはそれほど間違っていなかったかな?と思うと同時に、年間を意識するならばシャローだったかなという後悔もあります。

 

4. 今回の偉い人たちとティムコの展望

今回の最終的なウェイイン率はわずか23名。

芦ノ湖の厳しさを極限まで突きつけられるトーナメントとなりました。

その過酷な展開の中で結果を出した「今回の偉い人たち」のパターンは、私とは真逆の「シャローのサイトフィッシング」でした。

優勝した渡辺選手は、ティムコシケイダーやマイクロシケイダーを独自のノウハウでチューニングした虫系ルアーを駆使。

そして驚くべきことに、2位の保坂選手はティムコの「ライオットブレード」と「グリマー6」というルアーを武器に準優勝を飾っていました!

彼らの釣りは、シャローを泳ぐバスを発見した後、沖に逃げない個体を5分、10分と執念深くストーキングし、進行方向に虫ルアーをあらかじめ置いておく、あるいはスピナベサイトやミドスト(グリマー)で強制的にスイッチを入れるという、圧倒的な精度と忍耐のサイトマネジメントでした。

芦ノ湖に関しては、こうしたストーキングのサイトが火を吹きます。

気分の乗ってきたバスたちは人間に関係なく、不意にシャローに差してきます。

この点は人が流した後でも同じように釣れるという状況を生み出す要素かと思います。

奇抜なルアーでハメにいくのではなく、エリアとタイミングを完璧に見極めた者が勝つという、芦ノ湖の洗礼をまざまざと見せつけられました。

私自身の年間レースはこれで厳しい状況になってしまいましたが、今回上位陣のセミルアーの使い方やノウハウを徹底的に吸収できたことは、開発陣として大きなプラスでした~。

セミというカテゴリーは多様化を極めています。

7月中にでも芦ノ湖で「ティムコセミパターン永久保存版」の動画ロケを敢行し、ティムコのプロダクトの強さを証明する形で必ずリベンジを果たしたいと思います(あくまで希望です)。

次戦の亀山湖戦、全力で挑みます!

★使用タックル★
ロッド:フェンウィック プロト 65SMLJ
リール:エアリティST
ライン:PE0.8号(エックスブレイド ゾーンフィネス)
ルアー:ステルスペッパー70SF-R

今回の上位陣

詳しい内容は、以下の音声メモで残したヒーローインタビューから音声文字起こしした、以下の内容もぜひご覧ください!※文字起こし内容に誤りがある可能性もあります。ご了承ください。

 

第1位:夏シフトを捉えたシャローサイト×パワーフィネス・一定リズムシェイク戦略

【戦略のキモ】
月曜日の事前プラティクスでの「季節進行の遅れ」という印象にとらわれず、当日の晴天予報から「夏モードへのシフト」をいち早く予測。セミパターンの一等地(箒ケ鼻〜白浜エリア)へ。岸べったりやブレイクに絡む巨岩、産卵を終えてスクールする大型のアフターメスをサイトフィッシングで完全にロックオンし、ハイプレッシャー下でも狂わせるピンスポットの釣りを展開した。

【使用ルアー・アプローチ】
スピナーベイトを試すも吸い込みが弱かったため、即座にティムコマイクロシケイダーへ変更し、3000gオーバーの超弩級モンスターを捕獲。そして最後残り30分で会場周辺オーバーハング際を回遊する大型魚に対し、チューニングしたシケイダーを選択。PE1.2号(オープンでは0.8号)のパワーフィネスタックルを用い、一定のリズムでシェイクし続けてバスを浮き上がらせて口を使わせ、2本総重量6700gという驚異のH-1GPXレコードで優勝を決めた。

★H-1GPX王者・渡辺流「セミルアー(虫系)食わせの極意」完全解説★
渡辺選手が後半の勝負で投入し、異次元のウエイトを決定づけた「ティムコシケイダー各種」によるサイトフィッシング戦略。

その核心は、従来の「虫パターン」の常識とは真逆のアプローチにあります。

①【ターゲットの選定】「吊るし」は完全無反応!
狙いは「泳いでいる(回遊している)個体」多くの選手がオーバーハングの最奥にルアーを引っ掛け、一点で誘う「吊るし」の釣りを展開して自滅する中、渡辺選手は「いい場所(一等地)でじっとしている魚は絶対に口を使わない(無反応)」と早期に断定しました。狙いを「オーバーハングの際を活発に泳ぎ回っている(回遊している)大型個体」だけに絞り込んでいます。

②【アプローチ】驚異の「ストーキング&先打ち」
見つけた回遊魚に対し、決して後ろから追うのではなく、魚の進行方向を予測して「先打ち(進行方向に先回りしてキャスト)」を敢行。プレッシャーを与えない絶妙なディスタンス(距離感)を保ちながら、魚がルアーの存在に気づくようにラインの着水音や水切り音を徹底的に排除してアプローチ。

③【アクション】見切らせない「一定リズムの連続シェイク」
ここが最大のキモです。一般的な虫ルアーの使い方は「落として放置(ポーズ)」ですが、渡辺選手は「移動中もずっと、常に同じリズムでシェイクし続ける」という操作を徹底しています。途中でリズムを変えたり、急に止めたりすると、芦ノ湖の天才バスは一瞬で見切って去っていきます。「一定の規則正しいリズム」で動かし続けることで、泳いでいたバスがルアーに気づいて「フッと浮いてきて、迷わず安定して深く喰う」というバイトシーンを作り出しました。

④【マッチ・ザ・ベイトの正体】エビ喰いでもセミに狂う理由
渡辺選手自身、「狙っているバスは、エビを意識している個体もいる」と語っています。それなのにセミルアーを使う理由は、オーバーハングという閉鎖的な一等地において、ルアーがそこに「存在しさえすれば」、エビを喰っているバスであっても、水面の虫(セミ)を別腹として強制的に意識させ、口を使わせることができるから。

⑤【フックへのこだわり】シルバーフックはどうなの?
これは私から個人的な質問をさせていただきました。ティムコ社内の営業担当からは「フックは黒(ブラックニッケル等)じゃないとダメだ」と強く押し切られ、シケイダーオリジンは次回から変更になりますが、渡辺選手はそのこだわりはないそうです。ちなみに私もどっちでもいいと思っています。

 

第2位:エリアパワー重視の入り直し×スピナーベイトサイト&ボトム放置戦略

【戦略のキモ】
事前練習で魚の状態(ネスト、アフター、回復など)が全域でバラついている状況を把握し、魚に合わせるのではなく「最も魚の供給が多いエリアの力」を信じる戦略を選択。禁漁区を過ぎた左側の岬周辺から砂浜エリアをキー(箒ケ鼻周辺)とし、時間帯によるバスのポジション変化に対応するため、同一エリアへの小まめな「入り直し」を徹底。浅場へ追い込まれた個体が瞬発的に口を使うリアクションの釣りを構築した。

【使用ルアー・アプローチ】
水深2.5〜3mのボトムへ「グリマー6」をフォールさせ、ラインを水面に馴染ませてバスが戻るのを待つボトム放置を展開。入り直しのタイミングで口を使わない魚に対しては、ルアーを「ライオットブレード」へガラッと変更し、フォール中にエビ食いフィッシュをキャッチ。また、バンクギリギリの超シャローを泳ぐ個体には「ビーブル(スピナーベイト)」を投入し、スローに見せるのではなく瞬発的な波動でスイッチを入れるスピナーベイトサイトを駆使して今大会唯一の3本をキャッチ。

 

第3位:ディスタンス確保のシャロー追い込み×シングルブレード波動戦略

【戦略のキモ】
前日プラを2〜3時間と短時間で切り上げ、「魚影の濃いエリアでのサイトフィッシング」に完全特化。寝坊?スタートのため、先行者の少ない会場周辺からアプローチを開始した。魚を見つけても即座に仕留めようとせず、15m〜20mのロングディスタンスを保って観察。ルアーをあえて近くへ入れて魚をシャロー(浅場)側へ意図的に追い込み、逃げ場を失って立ち止まった瞬間にバイトへ持ち込む高度なサイト戦略を展開した。

【使用ルアー・アプローチ】
朝イチに「ビーブル 3/8oz」で掛けるもバラしたため、プレッシャーを抑えつつ強い水押しを得るためにハイピッチャーのブレードを「シングルブレード」へ即座にチューン。1本の魚に対して最大10分以上竿を振らずに観察する忍耐のサイトで3位に滑り込んだ。

 

第4位:散在する個体を狙うミドルブレイク×メタルバイブ・リアクション戦略

【戦略のキモ】
季節の進行がだらだらと長引き、ネストと回復個体が混在してブルーギル等のベイトを追ってポジションが散っている状況を分析。プレッシャーが高く魚が目視しづらい状況下で、人がいないタイミングや凪の瞬間を狙ってブラインドのディープピンスポットへアプローチ。砂浜にあるウィード(水生植物)のインサイド側に隣接する、水深6mラインのブレイク(かけ上がり)にコンタクトする個体を狙い撃った。

【使用ルアー・アプローチ】
O.S.Pのメタルバイブレーション「オーバーライド」を使用。水深6mのブレイクに対してルアーを大きくリフト&フォール(ビッグ&ダウン)させ、フォール直後のワンアクションでひったくるようなリアクションバイトを誘発。プレッシャー下でも見失わせないキラキラ系の明滅カラーを選択し、ビッグフィッシュ2本を揃えた。

 

第5位:先入観排除のラン&ガン×極浅シャロー・スピードトリック戦略

【戦略のキモ】
事前プラクティスを一切行わない「ぶっつけ本番(プラなし)」で挑んだ展開。普段から水質の悪いマッディフィールドをホームとしているアドバンテージを活かし、水質のクリアさに惑わされず、岸際の視覚的変化やシャローのハードカバーに狙いを定めた。人が集中する朝イチを避け、10時〜11時という遅い時間帯の時合に、海賊船の桟橋やキャンプ場周辺といった手つかずのシャローバンクを効率よく巡るラン&ガンを敢行した。

【使用ルアー・アプローチ】
1本目は「O.S.P ハイカット(あるいは同クラスの小型プラグ)」をセレクトし、PEライン直結のフィネスタックル(ブラックレーベル+アルファスエア等)でアプローチ。2本目は海賊船桟橋付近の水深1m未満の極浅シャローバンクに対し、1/2ozスピナーベイトをボートポジションから10m以上キャストで投入。着水と同時に水面直下をバズベイトのようにスピーディーに巻き倒し、沈めて止める緩急のアプローチで価値ある2本をキャッチした。

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