さて、今回はプライム特別編!!

テーマはズバリ、「AIの活用術」です。今年のルアマガ本誌(2026年3月発売5月号)の連載『バス釣り真相解明』で、私は「AIとバスフィッシング ―― 情報の壁を突破せよ」という記事を書きました。
覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、あの時私は「ネット上の情報はこれからどんどん劣化していく」「半年から1年後には、アングラー自身が持つ一次情報を統合した、個人特化型AIの時代が来る」というお話をさせていただきました。
あれから半年・・・実は先日、時間ができたので一気に作ってしまいました(笑)。過去20年間にわたり書き溜めてきた雑誌の連載原稿、昔の楽天ブログとFC2ブログの記事、手元の実釣ログ、そして何千回とやってきたストマック調査の生データ・・・これらをGoogle Apps Script(GAS)を使って全部吸い上げて整理し、Googleの「NotebookLM」というシステムに放り込んで、完全な『大津清彰特化型AI』を組み上げました。
外部のネット検索には一切頼らず、私が現場で実際に見て、触れて、記録してきた「私だけのローカル一次データ」だけで動く外部脳です。
これ、実際に使ってみると本当に凄まじい破壊力を持っています。今回は、この外部脳の真相を解明していきたいと思います。

★ネットのAIが現場で役に立たない理由★
まず大前提として、今の世の中にある普通の生成AIに「秋の利根川で何投げたらいい?」と聞いても、ありきたりな答えしか返ってきません。
返ってくるのは大抵、「秋はバスが広範囲に散る季節です。スピナーベイトやクランクベイトなどの巻き物でサーチし、障害物はテキサスリグで探りましょう」みたいな、入門書をそのまま切り貼りしたような答えです。
しかも最近は、大手メディアを中心にAIによる情報の自動収集(クローリング)をブロックする動きが急速に進んでいます。昨今重要とされるSNSの生情報を一気に収集するのはまず不可能と考えましょう。
つまり、ネット検索に頼るAIの情報は、日々新しさが失われ、劣化していっているのが現状なのです。AIで本当に知りたいのは、「秋は散る」という当たり前な話ではないはずです。
「水温躍層が壊れてディープの貧酸素水塊が消えた時、魚はどう動くのか?」「水温低下で見切りが激しくなった時、ルアーの進入角度とフォールスピードをどう調整すれば口を使うのか?」といった、現場の生々しい情報です。
その答えは、ネット上にはほとんど落ちていません。結局は現場で培った「本物の一次データ」の中に重要な要素は詰まっているのです。

★20年前の自分が、数秒で目の前に蘇る★
人間の記憶は曖昧で不完全なものです・・・私自身、20年前に利根川のテトラで釣ったバスが何を食っていたかとか、大雨で激流になった時にどの反転流に魚が避難していたかとか、当時の記事やブログをひっくり返して探すなんて釣行前夜にはとてもできません。
そこで、この『大津清彰特化型AI』の出番です。
例えばAIに、「9月上旬、大雨で本流に激濁りが入った。過去ログの中で魚をキャッチできている場所とルアーの共通項を出して」と投げてみます。
すると、ほんの数十秒でこんな答えが返ってきます。
『2010年9月の台風直後、および2019年7月の増水時において、本流の流れが当たる場所は完全に沈黙しています。共通して釣れているのは「大規模な反転流が起きる泥底シャロー」と「本流と違う水が入る支流・水門インサイド」です。また横方向の巻き物には反応せず、泥底シャローのブッシュ際でのノーシンカーのスローフォール、または反転流のピンスポットでのリアクション展開のみでキロアップが記録されています』
これが出た瞬間、当時の光景が一気に頭の中に蘇りました。「あぁ、あの時もガン流れでやる場所がなくて、神崎橋の反転流やブッシュに逃げ込んで拾ったんだったな・・・」と。
AIが勝手に釣り方を妄想したわけではありません。私が過去に現場で必死にもがいて見つけ出した「紛れもない事実」を、一瞬で目の前に引っ張り出してくれただけです。
しかも私のデータベースには、例えば吉村信吉博士の1938年の湖沼学論文『Dissolved oxygen of the lake waters of Japan』のような学術的データから、近年のライブスコープによる水中観察記録まで全部入っています。
それらと照らし合わせて、「なぜその状況でエビ食いから小魚食いへ変わるのか」「なぜ上方向のワインドには浮袋の限界を超えて突っ込んでくるのか」といった理由まで、完璧に辻褄を合わせて解説してくれます。
ネットを一切見に行かず、私のデータだけで考えているので、過去の経験から私が出す最良の結論をAIが導き出してくれます。これはある意味、AIが私自身のメタ認知を行っているようなものです。画面の向こうにいるのは、紛れもなく「過去の私自身」なのです。

★一般アングラーこそ、「書かない釣果ノート」を作るべき!★
ここまで読むと、「大津さんは20年分の記事があるからできるんでしょ? 自分には無理だよ」と思うかもしれません。
でも、私は断言します。一般のアングラーこそ、今すぐ自分の釣行記録をAI化すべきです。プロみたいに何十万文字もの文章を用意する必要は全くありません。スマホのメモ帳に残した数行の記録や、釣れた魚とポイントの写真数枚でも十分です。
そして、私が今一番おすすめしたいのが、「スマホの音声文字起こしデータ」を活用した「書かない釣果ノート」です。
これは以前、Basserの連載『新訳バスフィッシング教書』でも触れたのですが、釣果ノートは結局「疲れて帰ってきた後に机に向かって書くのが死ぬほど面倒」だから続かないんです!そこで活躍するのが、音声文字起こしデータです。これなら、釣行帰りの車の中で完成させられます。片付けを終えて車に乗り込んだら、スマホの音声文字起こし機能をポチッと起動して、運転しながら今日の釣りを独り言みたいに喋るだけです(※もちろん安全第一で、発車前にセットしてハンズフリーで喋ってくださいね!)。
「今日は朝の水温が23度。上流は水が良かったけど反応なし。昼前に北東の風が吹いて湖面がバタついたタイミングで、石積みにクランキーダーターを当てたら1本食った。口から5cmくらいのモツゴを吐き出した・・・」
綺麗な日本語にする必要も、話をまとめる必要もありません。多少の噛み癖や誤認識があっても、現代のAIは文脈で全部理解してくれます。
この数分間の喋り文字起こしテキストを、釣行ごとにAIへ放り込んでいくだけ。
たったこれだけで、3回、5回と釣行を重ねるうちに、世界中のどのプロの動画よりも「あなたの通うフィールドの真実」を理解している、最強の専属コーチが出来上がります。そしてその精度は日々向上しているのです。

★外部脳とともに水辺に立つ時代へ★
本誌5月号でも触れましたが、水辺に立つ自らの感覚や経験に、AIという「外部脳」を掛け合わせる時代はすぐそこまで来ています。
もちろん、最後に魚を手にするのはアングラー自身の腕と直感です。狙い澄ましたキャストを決めるのも、指先に伝わる微かな生命感を捉えるのも、水面のわずかな違和感に気づくのも、人間にしかできません。
しかし、過去の膨大な釣行記録を整理し、「次の一手の核」を組み立てる思考のプロセスは、AIという外部脳に委ねてしまえばいい!
フィールドで得た一次情報という、唯一無二の生きたデータをAIで研ぎ澄ます。ロッドやルアーに徹底してこだわるのと同じように、自らの思考を拡張する「最新のギア」としてAIを操るアングラーこそが、これからのゲームをリードしていくはずです。それはかつて、丹念に釣果ノートを書き留めていた時代の精神と何ら変わりません。その正当な進化形こそが、このアプローチなのです。
釣行の帰り道、あなただけの「自分専用AI」づくり、ぜひ始めてみてください!
