
★今回は利根川一本勝負!――大水後の「反転流・泥底シャロー」が火を吹いたプラ初日
さて、今回はH-1GPX代表枠として戦いました10月1日に行われた「バサーオールスタークラシック 2026 ワイルドカード」のレポートをお届けしたいと思います!
タイフーンマリーナを起点に、広大な霞ヶ浦水系全域と利根川上流域までが競技エリアとなるこの戦い。直前の情報では、霞ヶ浦本湖や流入河川側は度重なる大水の影響を引きずり、極めてタフな状況に陥っていました。対して利根川の水は、適度な濁りを伴いながらもキラキラと輝き、生命感に満ち溢れていました。
なにより、このワイルドカードという試合は「1位通過者のみが本戦への切符を手にする」という完全なる勝者総取りのレギュレーション。キロ未満を手堅く揃えて中位に滑り込むような戦略など、最初から選ぶ意味がありません。勝つなら利根川のビッグフィッシュでウイニングウエイトを叩き出す――。私の中ではプラクティスの段階から「利根川一本」と腹を括っていました。
プラ初日の9月28日、タイフーンマリーナからボートを走らせること1時間強、佐原エリアへエントリー。ここで試したのは、大水が出た後の利根川における秋のド定番パターン、「反転流の泥底シャロー」です。
大水が出た直後の河川は、本流の流速が極めて速くなります。いくらカレントを好むリバーバスであっても、エネルギーを浪費する激流には定位しないというのが私の経験則。狙うべきは、地形の張り出しやインサイドベントによって本流の激流がシャットアウトされ、緩やかに渦を巻くような反転流のポケットです。
しかも重要なのが、硬いハードボトムや砂地ではなく、あえて「泥底」でドシャローの場所を選ぶこと。
この読みがズバリ的中し、朝の上げで佐原の水位計が最大水位前後に達したタイミングでバイトが集中!
ラトリンログARB1200の鋭い2ジャークで2本、クランキーダーター200Aで1本、さらにハリネズミ(オリジナルサイズ)のラバージグで1本と、短時間で4本のグッドサイズをキャッチ!最大1,100g、下でも800gと、まさに読み通り景気のいい釣れっぷりでした♪

★イナッコ食いバスの生態心理――「一瞬のスイッチ」と「泥底・反転流」の因果関係
では、なぜ「反転流」であり、かつ「泥底シャロー」でなければならなかったのでしょうか??理由はよくわからない部分も多いのですが・・・実は「イナッコの遊泳力」が強烈に関係しているのではないか?というのが私の考えです。
このとき狙ったバスが追っていたのは、エビ系ではなく10cm以上に成長したボラの幼魚――イナッコでした。

この季節のイナッコというのは非常に遊泳力が高く、逃げ足が速い。そのためバスとしても、広大なオープンウォーター中では効率よく捕食できないと私は考えています。そこでバスは、本流の強い流れを嫌って反転流のシャローポケットに入り込んできたイナッコを、ド浅い泥底に存在するブッシュなどの隠れられる場所から、一瞬ダッシュして沖に向かって捕食する行動を見せます。
さらに面白いのが、ソウギョや巨大なコイが群れているような場所からは、バスが綺麗にポジションを外していたという点です。大型魚のプレッシャーを嫌い、そこからわずかに外れた「プロテクションがあり、かつ水が生きているエリア」にだけグッドサイズが身を寄せていました。
しかし、このイナッコパターンにはリバー特有の強烈な難しさが潜んでいます。

エビ類を主食にしているバスなら、カバーに対して執着が強く、ワームのスローなアプローチでもなんとかなります。ところが、逃げ足の速いイナッコに照準を合わせているバスは、捕食スイッチが完全に「オン」になった一瞬しかルアーを追いかけません。猛スピードでアタックしてくるためバイト自体は激しいのですが、激しすぎて自らミスしてしまうことも。
プラ2日目、終日冷たい雨が降り続いて水温が低下すると、状況は一変しました。水郷大橋左岸の逆水門エリアで、ハリネズミ+タクジグ3/8oz.(スーパーバイブレーションスカートウルトラ搭載)のフォールに「落ちパク」で食ってきたバスがいたのですが、一瞬触っただけでフッキングに至らずサヨウナラ・・・。スピナーベイト(オーバーシュートSB)でなんとか700gを1本キャッチしたものの、前日のようなイージーな反応は完全に消滅していました。
プラ3日目(最終日)には、朝イチのテトラ帯でワッパープロッパー110Fにショボいバイトが2発出たのみで完全なノーフィッシュ。冷雨と水位変動によって、あれほど濃かったシャローの生命感が急速に失われていくのを肌で感じていました。

★1位以外は無意味――生命感が消えた利根川で下した「佐原心中」の決断
迎えた10月1日、本戦当日。天候は朝の小雨から曇り、そして日中は晴天へとシフトしていく予報。参加選手16名中、利根川を選択したのは私と齋藤 寛之選手のわずか2名でした。
スタート後、迷わず直行した佐原エリア。水位は前日よりもやや高く、10時から11時の満水に向けて潮が上げていくタイミング。上げと下げを使えるタイミングとしては良い感覚を受けました。
しかし・・・。プラではあれほど浅瀬を泳ぎ回っていたナマズやコイ、そして水面をざわつかせていた無数のイナッコの姿が、どこを探しても綺麗さっぱり消え去っていたのです・・・。
普通なら手堅い釣果へ逃げたくなる場面。しかし、ここは勝者のみが生き残るワイルドカード。仮にキーパーを揃えたところで、ウイニングウエイトには遠く届きません。プラでキロアップのスクールを確認できていたのは佐原のシャロー。私は腹を括り、佐原のカバー心中を決断しました。
一瞬、風が吹き抜けて水面が波立ったタイミングでした。
佐原の浅いカバーに対し、エスケープチビツインの5gリーダーレスダウンショットを滑り込ませると、フォール直後の落ちパクで明確にラインが走った!
渾身のフッキングを決めてカバーから引きずり出したのは、狙い通りのナイスフィッシュとなる1,150g!
「戦略のベクトルは間違っていない!」。このクラスをあと2本獲れば、確実に優勝争いに絡めると考察。
日差しが強くなり、完全に晴れ上がったタイミングでブッシュのシェード撃ちへシフト。倒れ込んだ竹カバーの最奥、ルアーが容易に入らない隙間へ、パワーフィネスで「野良ガエル」を滑り込ませて提灯シェイク。すると、奥から真っ黒いキロアップの魚影がスッと浮上してきました。
バスは水面直下の野良ガエルを見つめ、バイト!
しかし――吸い込みの力が極めて弱く、ルアーが口腔内に深く入らない。何度か追い食いするようにアタックしてきたものの、深いバイトには至らず・・・。
あの瞬間、間違いなく時合が来ていました。結果論ですが、バイトのあったストレッチを見切って別のエリアを探しに行くのではなく、あの竹カバーの周辺をもう一度じっくりと流し直し、徹底的にスローダウンしてアプローチし直すべきだったかと思います。
★タックルデータ★
タックル1(カバー撃ち・リーダーレスダウンショット)
ロッド:フェンウィック S-TAV 610CMHP+J
リール:アルファスTW
ライン:アブソルートAAA 16lb
リグ:5g リーダーレスダウンショット
ルアー:ノリーズ エスケープチビツイン
タックル2(吊るし・パワーフィネス)
ロッド:フェンウィック ACES 70SMHP+J “Power Finesse Special”
リール:ヴァンキッシュ 2500
ライン:シーガー スマックダウンPE 2号
ルアー:ティムコ 野良ガエル(OSPタッガー5gラバーレス)
最終結果は1本・1,150gを持ち込み、16名中7位でフィニッシュ。優勝を飾ったのは、霞ヶ浦本湖側で早々にリミットを揃え、桜川河口でのサイトフィッシングで入れ替えに成功した宮嶋駿介選手(3本・2,670g)。4度目の挑戦で悲願の本戦切符を掴み取った宮嶋選手には、心からの敬意と祝福を送りたいと思います!
全選手が同じ思いでしょうが、たらればを言い出せばキリがありませんネ。もし試合の日程が2日ズレていればどうなっていたのか?あの竹カバーの時合で別の場所へ走らず、もう一度入り直していれば同じ結論になっていたのか?しかし、今回の試合展開に関してはリスクリワードと勝率をよく考えて立ち回りできたかなと思います。優勝以外に価値がない試合において、1,150gを頭に揃えれば勝てるという「利根川勝負」の組み立て自体は、今振り返っても決して間違っていなかったと確信しています。
今回のタフコンディション下で得られた「反転流の泥底理論」と、気難しいイナッコ食いバスに対するアプローチ。そして、パワーフィネスにおけるショートバイトを確実に掛けるためのフックセッティングやロッドバランス。現場で味わった強烈な違和感と悔しさは、次の新製品開発やプロトルアーの設計へとフィードバックしていきます!
それではまた!
